先日、産科救急のセミナーがありました。なかなか教科書には載っていないポイントをあらためて復習しました。一番勉強になったのは帝王切開では呼吸が停止したまま胎児を摘出するのですが、自然分娩では母親の産道を抜けてきた胎児は骨盤腔を通過する際に胸部が圧迫されて気道から要らない体液が排泄されるそうです。胸壁が圧迫されて呼吸刺激も受けるようです。仮死状態で生まれてくることが多いので、タオルでこすって呼吸させるのですが、こすりすぎると皮膚が剥がれたりもします。優しく優しく拭いてあげないといけません。あと初乳は8時間以内に飲ませましょうとのことでした。受動免疫を獲得するには分娩後8時間から12時間の間にお乳をあげてやって下さい。難産は昔はよくあったのですが、最近は個人で出産させる方がめっきり減りました。大変な仕事ですが、『あっ。獣医さんしてるなあ』と感じる瞬間でもあります。
谷 憲一郎(院 長) 2018年11月24日