皆さまこんにちは、お久しぶりです。連日の雨が収束し、セミたちの声が大きくなってきましたね。
今年は例年よりも梅雨入りが遅れていたそうですが、昨年と比べるとずいぶん梅雨らしい1ヶ月だったように思います。
さて、話は変わりますが、つい先日呼吸困難を伴う心筋症のネコちゃんが来院されました。心筋症というのは文字通り心臓の筋肉に異常をきたす、いわゆる心臓病の一種です。多くの場合、心臓病の検査はレントゲンや超音波検査などの画像検査が用いられます。しかしイヌと比べてネコは心臓がもともと小さく、そして拍動が早いため診断が難航する場合もあります。加えて今回の症例は呼吸状態も悪く、ゆっくりと画像検査を進めるのも難しいという状況でした。
そこで、補助的な検査としてBNPという血液中の心臓バイオマーカーを測定することにしました。結果は正常よりも高値だったため、すぐに投薬を開始し、ある程度呼吸が安定してから超音波検査を行い、心筋症という診断に至りました。
補助的な検査であっても蔑ろにはできません。心臓病でも血液検査が重要だということをあらためて実感した症例でした。ちなみに海外ではこのBNPをあわせて調べることで心筋症の診断精度が60%から80%まで上がったという報告もあるようです。もっと積極的に利用していこうかと思います。
巨海 竜一(獣医師) 2019年8月1日